薬剤師の転職は2022年も厳しい?失敗しない方法と理想的な求人の探し方

「新型コロナウイルス感染症は薬剤師の転職に影響はあったの?」
「薬剤師の転職が厳しくなっているって本当?」

近年、新型コロナウイルス感染症の影響により薬剤師の転職市場は大きく変化しました。
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令で医療機関への受診を控える人が増え、病院・クリニック門前の薬局を中心に調剤薬局の売上は低下し、経営にも支障をきたしました。東京商工リサーチによると2021年1月から11月の間に26件の調剤薬局が倒産し、過去最多の件数を記録しました。

これまで、「薬剤師不足」の状態で買い手市場だった薬剤師ですが、有効求人倍率を見ると、コロナ禍の2020年以降は2016年の半分低下になり薬剤師の活躍の場が少なくなっていることがわかります。

2022年版薬剤師の転職市場は厳しい?新型コロナウイルス感染症が与えた影響力

新型コロナウイルス感染症は日本経済に大きな影響を与えています。薬剤師の転職市場も例外ではありません。

ここでは、新型コロナウイルス感染症が薬剤師の転職市場に与えた影響を、データとともに紹介し、この状況下で薬剤師が転職を成功させるポイントも解説します。

新型コロナウイルス感染症拡大による薬剤師転職市場の変化

新型コロナウイルス感染症による影響は、薬剤師の転職市場にもみられます。

感染が拡大していく2021年4月には処方箋枚数が前年よりも約25%増加しましたがワクチン接種も普及し徐々に減少して行きました。処方箋枚数の伸び率

※調査:健康保険組合連合会健保組合

その結果、最近の薬剤師の転職市場では次のような変化が起きました。

  • 派遣求人数の減少
  • 年収の減少

それぞれ詳しくみていきましょう。

派遣求人数の減少

当サイトでは、派遣求人を取り扱っている2社の派遣求人数を調査しました。その結果は、以下の通りです。合計派遣求人数の推移

※調査:当サイト

2021年7月には3,723件あった求人件数が徐々に減少していることがわかります。これは、 人手不足の減少や人件費削減のために、派遣求人を募集する職場が減少したようです。

しかし、2022年5月からは再び増加傾向にあり今後、徐々に募集件数が増加傾向になる可能性があります。

年収の減少

処方箋枚数が減少すれば医療機関の収益は減少し、薬剤師の収入にも悪影響をおよぼすでしょう。

実態を探るため、新型コロナウイルス感染症の流行による薬剤師の年収変化を調査しました。コロナウィルス感染症の流行を受けて給与に変化はありましたか?コロナウィルス感染症の流行を受けてボーナスに変化はありましたか?

※調査:クロス・マーケティング(n=205)

データを見ると、16.6%の薬剤師の年収が減少し、さらに23.4%の薬剤師のボーナスが減少したことがわかります。

およそ4人に1人のボーナスが減ったというのは薬剤師にとって大きな打撃といえるでしょう。

処方箋枚数の減少にともない、調剤技術料や薬学管理料による売上が低下したことが要因とみられます。

さらに感染対策やオンライン服薬指導など、今までなかった業務が増加していることもあり、薬剤師の労働環境は厳しくなったといえます。

薬剤師が転職失敗しないためのポイント4つ

4つのポイント

転職を考えている薬剤師に知ってほしい、転職活動のポイントを4つ紹介します。

  • 希望条件を明確にし、優先順位をつける
  • 高頻度で掲載される・好条件すぎる求人情報に注意
  • 職場を見学する
  • 業務量・内容を詳しく調べる

希望条件を明確にし、優先順位をつける

まずは、新しい職場に求める条件を明確にしましょう。さらに、それらの条件に優先順位をつけましょう。条件と優先順位を明確にすることが、求人探しの道しるべになるのです。

これらを決めておかないと好条件の求人に手当たり次第飛びついてしまい、自分が何を重視して求人を探していたかがわからなくなり、道に迷った状態になってしまいます。その結果転職後の後悔につながってしまうのです

希望条件を決める際は、たとえば以下のような具体的な希望条件をピックアップし、優先順位をつけておきましょう。

  • 高年収(年収600万以上)
  • 調剤薬局が良い
  • あまり忙しくない職場が良い
  • 通勤時間が20分以内
  • ママ薬剤師が働きやすい

大事なのが優先順位をつけること。「どうしても譲れない条件」を高い優先度で設定しておけば、求人探しの大きな軸となるので、転職後のミスマッチも少なくなるでしょう

高頻度で掲載される・好条件すぎる求人情報に注意

高い頻度で求人を出している企業は、新入社員がすぐに辞めてしまっている可能性があります。

また、ほかの求人に比べて不自然なほど好条件な求人は、裏を返すと「好条件にしないと薬剤師が応募してくれない」「薬剤師がすぐ辞めてしまう」などの問題を抱えているかもしれません。

とはいえ、求人情報だけで見極めるのは難しいため、気になる求人を見つけたら転職エージェントに確認するのがよいでしょう。その職場の内情を詳しく教えてくれるはずです。

職場を見学する

求人情報では得られないリアルな雰囲気や人間関係を感じるためにも、可能な限り職場見学をしましょう。その際のポイントは2点です。

  • 忙しい時間帯を見学する

忙しく、余裕のない時にこそ、職場の本当の雰囲気がわかるものです。ギスギスした雰囲気なのか、スタッフがテキパキと動いて連携しているか、といった点を見極めましょう。

  • 現場のスタッフと会話してみる

採用担当や役職者は、職場の良い点にしか話してくれないケースが多いようです。人が欲しいのですから当然ですね。
彼らの話を鵜呑みにせず、可能であれば現場に立つ薬剤師などと軽い会話をしてみましょう。

もし見学をして違和感を感じた場合はエージェントに伝えましょう。

業務量・内容を詳しく調べる

転職に失敗したと感じる理由のほとんどは、転職前と転職後のギャップです。そのため入社前に企業について詳しく調べ、納得したうえで入社しましょう。

薬剤師の転職の場合には、業務量と仕事内容にギャップを感じやすいので、特に注意して確認することが必要です。その際、処方箋の枚数や薬剤師の人数のみならず、「薬歴の残し枚数」「薬歴は電子か紙なのか」まで確認しましょう。

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